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認知症になりたくなければ歯を守りましょう(16)

口腔内細菌がもたらすさまざまな病気(2)・・・アルツハイマー病(その2)

・歯を守れば、脳のゴミは押し流すことができる!

歯周病にかかっている期間が長ければ長いほど、脳に溜まる脳のゴミの量は増えていくと考えられます。

だとすれば、すでに脳のゴミが溜まり始めていると思われる歯周病患者さんは、認知症の予防に関して、もう手遅れなのでしょうか?

いえいえ、そんなことはありません。

なぜなら、すでに溜まりつつある脳のゴミさえも、正しい歯のケアを行うことで、減らすことができるからです。

歯のケアで脳のゴミを減らすメカニズムには、次の2つがあります。

ひとつは、歯磨きなどで、歯周病菌を徹底的に減らすことです。

歯周病菌を減らせば、脳のゴミであるアミロイドβの発生そのものを抑えることができるのです。

もうひとつは、正しい歯磨きをすることで歯周病を予防して、たくさんの歯を保存することです。

高齢者になってもたくさんの歯を残せれば、咬むことで歯の根元にある歯根膜のポンプをプッシュして、勢いよくどんどん脳に血液を送り込むことによって、脳内のアミロイドβを流すことができます。

歯で咬むことで、アミロイドβが少なくなることを裏付けるデータもあります。

広島大学の研究グループが、よく物を咬むことができるマウスと、歯が無くて柔らかい物しか食べられないマウスを比較しました。

すると、歯の無いマウスの方には大脳皮質にアミロイドβが沈着し、さらに記憶や学習能力に関わる「海馬」の細胞数が少なくなっていたことがわかりました。

歯が無いために、脳血流を増やしてアミロイドβを押し流すことができずに、認知症を発症したと思われます。

これらのことからも、35歳を過ぎたら脳の老化を防ぐための歯のケアを徹底して行う必要があると言えます。

2022年12月14日 15:15|コメント(0)トラックバック

認知症になりたくなければ歯を守りましょう(15)

口腔内細菌がもたらすさまざまな病気(2)・・・アルツハイマー病(その1)

・歯周病になると、脳にゴミが溜まる

ここからは、口の中のボヤである歯周病が、全身にどんな病気をもたらすかを見ていきましょう。

まずは、認知症です。

歯周病を引き起こす歯周病菌が、アルツハイマー型認知症の原因となることがわかっています。

歯周病菌が出す毒素によって歯ぐきなどに炎症が起きると、血液中に炎症物質である「サイトカイン」が流れ込みます。

このサイトカインが血液で運ばれて脳に流れ込むと、「アミロイドβ」というタンパク質が脳の中で増えるのですが、これが「脳のゴミ」と呼ばれるものです。

アミロイドβは、脳の中で記憶を司る「海馬」を中心に少しずつ溜まっていきます。

溜まったゴミに圧迫されて、徐々に脳細胞が死滅していきます。

どんどん記憶力が低下していきます。

これがアルツハイマー型認知症の発生、悪化のメカニズムだと考えられています。

つまり、歯周病になると脳にゴミが溜まって、アルツハイマー型認知症の発症・悪化のリスクが高まるのです。

悪化リスクがどのくらい高まるかを調べた研究があります。

アルツハイマー病のマウスと、アルツハイマー病でさらに歯周病菌に感染させたマウスを比べた結果、役4ヶ月後には、歯周病菌に感染させたマウスの海馬に沈着したアミロイドβは、なんと面積で約2.5倍、量で約1.5倍に増えていたそうです。

・脳のゴミである「アミロイドβ」とアルツハイマー病の関係

ちなみに、アミロイドβが脳内に溜まって認知症を発症するまでには、約25年ほどかかると言われています。

厚生労働省の歯科疾患実態調査によると、歯周病を発症する人の年齢のピークは45~54歳とされているのですが、これに25年を足すと、アルツハイマー型認知症患者が急増する70代という年齢層とぴったり重なるのです。

このことからも、歯周病とアルツハイマー病の関わりが推測されます。

また、アメリカの研究グループが、アルツハイマー型認知症で亡くなった人の脳を調べたところ、歯周病の原因菌の代表格であるプロフィロモナス・ジンジバリス菌が出す毒素である

リポポリサッカライド(LPS)が高頻度で検出されました。

その一方で、アルツハイマー型認知症を発症していない人の脳からは、LPSは検出されていません。

これで、歯周病がアルツハイマー型認知症に影響を及ぼしていることがはっきりとわかったのです。

2022年12月03日 13:19|コメント(0)トラックバック
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