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噛むこと!

治療で来院される患者さんのお口の中を診せていただくとその人の生活背景や習慣が想像できます。

特に高齢者の皆さんのお口の中は、過去の歯磨き習慣や今までの食生活がはっきりと表れています。

皆さんが高齢になる前から歯科治療だけでなく、ちょとした食事や栄養またまたは口腔機能の維持・向上についてアドバイスできるといいなと思います。

まず、食生活の変化についてです。

時代をさかのぼってみると古代人の食事は硬いものが多く、現代の食事と比較すれば一食あたりの咀嚼回数は6倍も多かったと言われています。

弥生時代の食事が4000回ぐらいの咀嚼回数に対して、現代人の食事は620回ぐらいだそうです。

古代人の食事はひえや粟など雑穀や木の実、干物など硬くて嚙み応えのある食材が多かったので、良く嚙まないと飲み込めないものばかりでした。そのため自然と咀嚼回数が多くなったと考えられています。

現代人の食事は変化し、特に調理方法の改良が進み、軟らかいものを食べる機会が増えました。そのため、咀嚼回数が激減したのです。

この現象は社会の変化とともに進んで、人類は進化の過程で咀嚼をあまり必要としなくなってきました。よく‘‘ひとくちで30回噛むこと”なんてよく聞いたことがあると思いますが、意外と難しいもので意識しないとなかなかできません。

最近では、コンビニエンスストアやスーパーマーケットに行くと時間がなくても手軽に空腹を満たせる食品を売っています。エネルギーも栄養も液体やゼリーで飲み込むことで食事にかける時間を短縮して手軽に摂取できてしまいます。これが咀嚼を必要としない嚥下食なのです。

嚥下食は、医療や介護の現場で、うまく噛めない人への代用食として使われています。噛むことができる人に噛まずに飲み込む習慣がついてしまうと知らないうちに咀嚼機能が退化し、口腔機能が衰えてきます。

また、古代人は“えら”が張ってがっちりした顔貌ですが、現代人は顎が十分に発達せず、骨格は“きゃしゃ”で細長い顔貌となり歯並びにも異常がみられます。

食べるという行動では、口腔の咀嚼運動や咽頭の嚥下運動はとても重要な役割をもっています。

良く噛んで飲み込むことは顎の発育や唾液の分泌のために大切でむし歯や歯周病・口臭の予防にもなります。また、脳への血流が増加して脳が元気になり認知症の予防にもなります。胃腸の働きも促進するので全身の神経を刺激して活力がみなぎり、体力、運動能力が向上します。

健康維持のためにも噛む回数を増やす習慣をつけましょう。

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